
山梨県と言えば、富士山や桃、ワインなど、有名な観光地や特産品がたくさんありますね。でも、地元の人しか知らない隠れた美味しいものもあるのをご存知でしょうか?その一つが、「甲州寿司」です。
甲州寿司とは、山梨県独自の寿司スタイルで、通常の握り寿司とは一味違う趣きがあります。
一般的な握り寿司がベースとなっていますが、通常よりもサイズが大きめです。穴子やうなぎといった定番のネタに加え、マグロなどの生のネタにも「ツメ」と呼ばれる甘ダレを塗って食べるのが特徴的です。
このサイズの大きなシャリは、江戸時代や明治初期の頃の握り寿司が今よりも大きかったことに由来しており、昔ながらの趣を感じさせます。まさに山梨ならではの、歴史を感じられる寿司文化が息づいているのです。
かつて、流通網が発達していなかった時代には、夏でも生魚を運べる限界地点を「魚尻線」と呼んでいたそうです。その魚尻線は、マグロの漁獲量・消費量日本一の静岡県から見て、山梨県の甲府周辺だったとのことです。
そのため、昔からマグロは山梨県の重要な食材となっており、ハレの日の食卓に上がり続け、現在でも山梨県の代表的な郷土料理として定着しているそうです。
江戸時代や明治時代、山梨県の寿司屋は、新鮮な魚を活かす技術を持っていた。当時の山梨では「無尽」と呼ばれる飲食会が盛んで、寿司屋の座敷がその会場として利用されていました。
また、幕府直轄領となった甲府に、江戸から「甲府勤番」が設置され、彼らが江戸の寿司文化を持ち込んだことで、山梨県内での寿司の普及が進んでいったようです。